人工妊娠中絶が可能な条件
人工妊娠中絶は基本的には違法です。
母体保護法により、人工妊娠中絶をしてもよい場合が規定されています。
母体保護法の第14条第1項第4号では、医師が、
「身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの」
と判断した場合は妊娠を中絶することができる、
と定められています。
たとえば、重症の心臓病、腎臓病、糖尿病などにかかっているため、
出産により、母体が生命が危険にさらされるおそれのある場合には中絶しても良いことになっています。
また、経済的な理由で母体の健康に障害をきたすおそれがあっても中絶可能です。
実際に人工妊娠中絶を行った場合
人工妊娠中絶の手術を行うときは、本人と配偶者、またはそれに相当する男性の住所・姓名を記し、署名捺印した同意書を持参します。
書類は病院で受け取ることができます。
実際に人工妊娠中絶を行った場合、妊娠の4カ月以降の場合は、
中絶後7日以内に、中絶をおこなった施設のある市区町村長に医師、または助産師の死産証明書、または死胎検案書をそえて、死産届を提出します。
人工妊娠中絶が母体保護法で認められるのは、妊娠することによって母体の健康がいちじるしく害されることを予防する場合です。
そのため、、胎児に重い病気や障害があることを理由に人工妊娠中絶を認めるという胎児条項は今のところ、認められていません。
しかし、羊水検査や絨毛検査、超音波断層法などによる出生前診断の進歩により、
胎児の異常を妊娠の初期から中期に知ることが可能になってきたので、胎児異常の一部については
女性の自己決定権を認める胎児条項を母体保護法に追加しようという、改正の方向が示されていますが、いろいろ問題があり、反対の声も強いです。